たまたまデモ制作の仕事でアメリカ、ロスアンジェルスに行く機会があり、作業していたハリウッドのDesignhouseスタジオで、現在デビューに向けて準備中の日本人アーティスト、ASAKOに今回の曲の仮歌を吹き込んでもらえることになりました。そのため、急遽歌詞を書いてもらい、仮歌を録ってきました。
▲ASAKO



▲MMP-2
ここで大活躍したのが日本から持ち込んだMMP-2AKG C3000Bのセット(MMP-2AKG)。MMP-2はプリアンプだけではなくEQやコンプ、またはビンテージ・プリアンプのシミュレーターも付いていますが、コンプのかかり具合など実に本物っぽく、高音質なボーカルが録りが実現しました。ちなみにMMP-2の設定は、MODELの出力がVoc.D、EQで低域をカットして高域を持ち上げ、DYNAMICSでコンプをSOLIDに設定してリミッター的に薄くかけました。


歌の後処理として、コンプとEQで整えて4分のディレイとマスター・リバーブにAUXで送り、音量を若干ボリュームのオートメーションで上げ下げし、部分的にディレイの送りをオートメーションで調整。特にAやBセクションの各4と8小節目の最後の言葉だけは露骨にダブっぽくディレイで飛ばし、その言葉を強調してみました。

コーラスは毎回僕の仕事では数が多いです。各ハモりのパートはダブルで録ったのでそれぞれを左右にパンニング、音程が高くなる程パンニングの角度をつけており、一番高いパートは完全に左右に振れています。私の場合いつも主メロはトリプルで録り、1本は主メロ扱い、残り2本はハモパートと一緒の扱いでミキサー上の処理を行っています。

最後に、マスター出力にはトータル・リミッターで音圧をつけて、フェイドアウトのオートメーションとしました。ここで気を付けなければいけないのは、絶対にマスター出力のインジゲータで赤がつかない(クリップさせない)ようにすること。さもないと、聴感上問題なくてもCDやmp3に書き出した時に歪んだり、再生するモニターを変えると著しく歪んで聞こえたりします。各楽器の音を全部小さめに設定してマスター・エフェクトで軽く持ち上げるようにするときれいに音圧が稼げたりしますので、いろいろ試してみるといいでしょう。

プロの現場でラフ・ミックスというと、状況に応じて1〜2時間以上かけて本番のミックス作業に近いものに仕上げる時もあれば、ただ作業途中で2ミックスに落としただけといった本当にラフなものまで様々です。今回は大体その中間位、平均的なラフ加減にとどめてあります。本来であればこれに2番をつけて、必要に応じて大サビ(Dパターン)、インタルード、アウトロをつけてフルサイズにアレンジした後、歌を録り直して、最後に丸1日かけてミックスを行い完パケる訳です。さらにその後にマスタリングやプレスを経てCDが発売されるというのが一般的な制作作業の流れとなっています。


さて3回に渡ってお届けしたトラック・メイキング講座でしたが、皆様のお役に立てたでしょうか? 私もいろんな人に教わりながら知識を深めていきましたが、トラック・メイキングもエンジニアリングもとても奥深く、学べば学ぶ程自分の未熟さを痛感している毎日です。皆さんもどんどん技術を磨いて日本の音楽業界を盛り上げていっていただきたいと願うばかりです。それでは皆さん、がんばって!



   
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