Profile:齋藤久師/さいとう ひさし
91年ビクターエンターテインメントより日本初のテクノユニット『ガルトデップ』でデビュー。ユニット休止後、さまざまなクラブ系ユニットに参加し海外でのディストリビュートも積極的に行う。1996年よりステージ衣装から機材などすべてを完璧に模したYMOの完全コピーバンド『Yセツ王』として活動。リアルタイムにYMOを体験した熱心な固定ファンのみならず、YMOのライブを見たことのない若いファンをも獲得している。また雑誌などでのレビュー執筆など多方面で活躍している。
みなさんこんにちは! 齋藤久師です。 6月から8月まで3ヶ月に渡り、全国のアップルストアとPlanet Shop 、全17箇所でSH-201を実際に使用したセミナーを展開しています。この原稿を書いている現在、既に10ヵ所以上の会場を回ったところですが、どこの会場へ行っても一番印象的なのが、高校生くらいの若い年齢の受講者がとても多いこと、そして、女性の割合も多いことです。その事実に驚くとともに、シンセサイザーでの音作りを意欲的に求める方々の多さにとても励まされます。完成されたピアノやバイオリンなどの伝統的なアコースティック楽器に比べれば、シンセサイザーの歴史はまだ始まったばかりです。しかし、現代の音楽制作で最も需要が高く、その最も中心に位置するのがシンセサイザーを始めとする電子楽器であることは間違いありません。
さて、今回のシンセサイザー・カルティズムでは、SH-201の音色作りを、より掘り下げてご紹介してみたいと思います。
では、まずSH-201のシンセサイズとアルペジエーターを使い制作したフレーズ・パッチをお聴きください。
フィルター・ハウス系でよく使われる代表的な動きのあるシンセ・リフ音色です。このパッチの特徴は、合計14基の鋸波を使用し、LFOで周期的なフィルター開閉を行っています。更に本体の自由な書き込みができるアルペジエーターでフレーズを演奏させ(指一本で)、演奏中にリアルタイムでD BEAMの「FILTER」を操作してみました。
では、このパッチがどのように作られているのかを、モジュールごとに詳しく解析したいと思います。 SH-201にはパーソナル・コンピューター上で音色エディットができる「SH-201 Editor」が付属されており、より細かいサウンド・エディットやアルペジオ・パターンの制作が行え、SH-201をソフト・シンセのように扱うことができます。また「Librarian」では本体音色のバック・アップ等、音色の管理を簡単に行うことができます。それではパラメーターの数値がより分かりやすいエディター画面を例に解析してみようと思います。
▲SH-201 Editor画面
まずは、オシレーター・セクションで音の元になる基本波形を選びます。 SH-201は2つのOSC(オシレーター)を装備しているので、その両方に「SUPER SAW」を呼び出します。この「SUPER SAW」は、なんと7つの鋸波が重なりあってできている非常に分厚い音のする基波形です。これを2つのOSCで呼び出すと、鍵盤ひとつに対して合計で14本もの波形が発音するというたいへんゴージャスな仕様になっています。更に「PW/FEEDBACK」ツマミで7つのオシレーターひとつひとつのピッチをデチューン(微妙にずらす)ことができるので、アナログ・ライクな滲みや分厚さを簡単につけることができます。
このパッチでは、OSC2のピッチを7度上にずらしてハモリをつけることで、デチューン以上の広がりを出してみました。 OSC2のピッチを上げていく音を聴いてください。
では、まだフィルターで何の加工もされていない、2つのOSCで発音された「SUPER SAW」の音を聴いてみましょう。
大胆に7度ずらした和音状態のハーモニーと微妙なデチューンが効いて、荒々しくも分厚いシンセサイザーらしい音がしていますね。
▲オシレーター・セクション
次に、フィルター・セクションで音質を加工します。 SH-201のシンセサイザー部分には、ローパス/ハイパス/バンドパスと3つのフィルターを装備。さらに-12dBと-24dBのスロープを切り替えることにより、多彩なフィルタリングが可能になっています。それでは、それぞれのフィルター・タイプを試してみましょう。スロープは-12dBに統一し、カットオフを手動でグリグリ動かしてみました。
・ロー・パス・フィルター
非常に滑らかで太いサウンドになりますね。カットオフを左に回し切ると音がスパっときれる程強力なフィルター効果が出ています。特にベースなど、ファットな低音が欲しい時に使用すると良いでしょう。
・ハイ・パス・フィルター
高音部を強調する激しいハイ・パス・フィルターの効果です。トランスのリフなどで盛んに使用されることが多く、シンセ・リフやパッドなどにピッタリのシャープな特性を持っていますね。
・バンド・パス・フィルター
ある特定の周波数帯を強調するバンド・パス・フィルターは、クセのあるシンセサイザーならではの存在感を持たせることができますね。今回制作したパッチは、このバンド・パス・フィルターを使用しました。
▲フィルター・セクション
このように、フィルターの特性を変えることで、同じオシレーター波形でも、非常にバラエティーに富んだ音色変化を楽しむことができるのです。
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