Vanilla Mood
Profile: Waka(フルート) 、Yui(バイオリン) 、Mariko(チェロ) 、Keiko(ピアノ) の4人組ユニット。クラシックとさまざまなジャンルの音楽のコラボレーションやアレンジで、これまでにない音楽を創造しようと2002年に結成される。2003年より本格始動。2004年NHK総合テレビ(全国)「お昼ですよ! ふれあいホール」でのレギュラー演奏を開始し注目を集める。2006年2月にミニ・アルバム『Vanilla Mood』でCDデビュー。2006年10月4日にミニ・アルバム『雫』をリリース予定。
 
今回のインタビューはクラシックを新しい概念で再構築した独自の音楽で話題のユニット、バニラムードの皆さんの登場です。ピアノ担当のKeikoさんは、楽曲制作ではFantom-S88を、ライブではFantom-X8を使用されています。10月4日に発売される2ndアルバム『雫』では、前作同様バニラムードの魅力でもある演奏シーンが堪能できるPV(全2曲予定)、オフショットなども収録したDVDが付いてくるそう。このPVでも、KeikoさんはFantom-X8とローランドの技術を結集した最高級のピアノ・クオリティを誇る デジタル・グランドピアノRG-7を演奏されています。尚、このPVはバニラムードのホームページ(DISCOGRAPHYコーナー)でもショートバージョンが近日公開予定ですので、是非、チェックしてみてください。さて本文、クラシック楽器と電子楽器のアンサンブルにはどのような苦労と面白さがあるのか、またクラシックとポップスの融合を目指すバニラムードの音楽の魅力に迫ります。

好きな音楽をずっと続けてこれたことに感謝している
 
まず最初に音楽に出会ったきっかけをそれぞれお教えください。
Waka
(以下、W):
フルートを始めたのは12歳くらいなんですけど、もともとは母がピアノの先生で、父もバンドやギターをやっていたので、私も4歳からピアノを始めました。フルートは学校のブラスバンドで始めたんですが、そこのブラスバンドがいわゆる強豪クラブで、フルートだけでも希望する新入生が30人くらいいたので、楽器を始める前にオーディションを受けて、見事受かって始めたのがフルートとの出会いです。
Yui
(以下、Y):
私も母がピアノの先生で、叔母がバイオリンの先生をやっていたので、気がついたら4歳くらいからバイオリンを始めていたんです。ピアノは受験に必要だからと中学生くらいの頃に習いましたけど、最初からバイオリンを演奏していましたね。クラシックの環境が濃い家庭だったので(笑)、自然とそちらに進んでいきました。
Mariko
(以下、M):
親が音楽好きで、家の中でいろんな音楽を子供の頃から聴いていました。でも私は、音楽やチェロの音に興味があったんじゃなくて、本でチェロを弾いている絵を見て「コレがやりたい!」って親に言ったんです。形から入っていったんですね。最初は4歳からバイオリンとピアノを習わせてくれたんですが、8歳の時にやっぱりチェロがやりたいと言って、それからしばらくは3つの楽器を同時に習っていました。実際にチェロを演奏し始めてからは、音色とかに惹かれるものがあったから、その後もチェロだけを続けていったのかなと思います。
Keiko
(以下、K):
私の姉が電子オルガンを習っていて、家で練習しているのをいつも聴いていて、私が真似して弾いていたので、親が「じゃあこの子にも」と、姉と同じ教室に通わせてくれました。それが4歳の時で、小学1年生の頃には作曲を始めるようになって、電子オルガンの中に入っているシーケンサーを使って打ち込みも遊びでやるようになりました。
 
みなさん音楽が身近な家庭環境の中で育ってきて、楽器を演奏するのが当たり前と思われていたのかも知れませんが、そうした環境で練習が嫌になったことなどはありましたか?
W: くじけそうになったことがあり過ぎて、何から話していいか分からないですけど、でも気がついたら10年以上楽器をやっていたので、私にはコレしかないんだと考えて、信じて突き進んできたという感じです。好きなことを何年も続けさせてもらえるって凄いことだから、「もう楽器を見たくない」と思うくらい落ち込んだ時も、初心に戻るというか、自分は幸せだと思うようにしています。
 
他の友達が遊んでいる時にも練習をしなければいけないから、辛いと思うこともあったのではないですか?
W: そうですね。子供の頃から土曜日に夜までレッスンしていたから、他の友達が遊びに行くのをいいなと思っていましたけど、今考えるとその頃自分の中で試練があったから今の自分があるんだなと思います。
Y: 私は親元にいたのは中学までで、高校からは東京の音大付属に1人で通っていたんです。いきなり親元を離れて、しかも全国から才能のある人たちが集まってきているからみんなもの凄くうまくて。プレッシャーもあったしコンプレックスも出てきたし、人前で演奏するのが怖くなったこともあります。コンクールを受けても立て続けに落ちて自信をなくしたり。そういうこと全部ひっくるめて、大学に入ってからも引きずっていたものを、このままで終わっちゃいけないと考え始めて、行動を起こしたのがバニラムードを始めたきっかけになっています。この活動は自信にも繋がったのでよかったなと思っています。
 
音大に入ると、周りにたくさん上手な人がいるわけですから、プレッシャーは増えるでしょうね。
Y: それまで自分の中でやっていたことが評価される機会も増えるんですけど、でも、いろんなことが関わってきて……。周りもそういう状況で頑張っている人ばかりですからね。
M: 私は高校くらいまで音楽は常に身近な存在としてあったんですけど、その一方で普通の学校に通っていたので、音楽で悩むとしてもそれが一番の悩みではなかったし、常に他の道もあると考えていました。でも高校の時に衝撃を受けた出来事があって、そこから音楽の道へ行こうと決めたんです。音大に入ってからも、プレッシャーはあったんですけど、音楽について悩んだり考えたりする時間も好きだったのかなと思うんです。大学に入ってからクラシックをやっていましたが、何か新しいことをしたくてこの活動を始めて、今までのクラシックとは違う考え方をしなければいけないし大変だけど、それより吸収したいという気持ちのほうが強かったですね。嫌だと思う気持ちより、努力したい、吸収したいという気持ちのほうが強かったから、辞めてやるという気持ちになったことはなかったです。今の活動も本当に日々いろんなことを考えるけど、充実していますね。
K: 私は自由奔放に音楽をさせてもらっていて、楽器を辞めたいと思ったことがないんです。親が音楽の先生をしているわけでもないから、どうやって教えればいいのかも分からなかったんでしょうね。小学生の時も放課後はサッカーをして、帰ってからみんながゲームとかをしている時間に電子オルガンを弾いたりしていたから、ゲーム感覚で演奏も作曲もしていたんだと思います。
 
とはいえ、演奏する技術というのはそれなりに練習も必要だと思うのですが。
K: うーん、何となく弾けちゃったんですよね。楽器を弾けない状況でも自分の中で音楽は流れているし、何となくイメージはつくので音楽から離れたことはなかったんです。受験の時になって、それまでジャズとかで自由に演奏していたものが、理論や和声、しきたりとかの勉強が必要になって、ちょっと辛いと思うこともありました。こんなガチガチな世界でクラシックの人はよく音楽ができるなと思いましたね。
M: クラシックでも最初は理論を知らずに楽しいだけで弾いちゃうんですよ。で、やっぱり理論が入ってきてウッと思うんです。でも理屈が分かるとできることも広がってくるし、乗り越えた時にさらに楽しくなるというのはありますね。
K: クラシックのしきたりとかが分かってからは、そういう理論を知ったほうがより美しい音楽ができると気がついて、世界が広がったし、クラシックも楽しいものだと思うようになりましたね。
 
新しい音楽を作りたい、発信したいという気持ちで仲間が集まった
 
そういう4人が出会って、どのようなきっかけでバニラムードが結成されたのでしょうか。
Y: 何か新しい音楽を発信したいと集まって、音大の友達で活動を始めたのがバニラムードなんです。最初はみんなで一緒に合わせて演奏してみたり、っていうお遊びみたいなものだったんですが、だんだん活動の幅が広がっていきました。 Wakaちゃんは学校が違うんですけど、友達つながりでメンバーになって今に至ります。
W: 私たちはクラシックをやってきたけど、新しい発想で何か発信できる音楽をやりたいっていう気持ちがまずあって、Keikoちゃんが作る音楽が凄く面白いものだと思ったんです。それぞれの楽器の特色をつかんだ音楽を作ってくれるから、ちょっとやってみようよ!という感じで活動が広がっちゃったんですね。
 
Keikoさんの作る音楽にはジャズやポップスの要素がふんだんに入っているということで、それを演奏するにあたって、リズム感などで苦労されたのではないでしょうか?
Y: リズムは今も手こずってるよね(笑)。
M: 今も研究中ですね。
Y: クラシックって弾き始めてから発音までが凄く時間がかかるんですよ。それがオンタイムでビートを刻んでいかなきゃならないから、まずそこにたどり着くまでに凄く大変でした。奏法から変えていかなきゃならないんです。
M: オケの中で演奏するのに比べて、音量の幅をもの凄くつけていかなければ楽器の音が生きてこないしね。
 
今バニラムードで演奏されている音楽ではコードという考え方もあるんですか?
M: クラシックではコードではなく和声と言う呼び方ですね。
Y: コード譜ではなく譜面で書いてもらったほうが分かりやすいかな。
 
Fantomの中に入っていた音色に触発されてできた曲もたくさんあるんです
 
作曲やアレンジはKeikoさん1人で行われているんでしょうか?
K: はい。デモ段階ではアレンジまで自分でやって、「こんなのできたよ」ってみんなに渡して、それぞれの味付けを実際の演奏でしてもらいます。オケがないものは譜面だけで渡して、Fantomで弾いた音のデータがあるものは音も渡して聴いてもらっています。でも、私が弾いた楽曲はフリーになってしまうので、譜面にする時にきちんと直しているんです。だから音と譜面が違うことも多々あります。
 
今までかなりたくさんの音楽を作っていらっしゃいますよね?
K: そうですね。今日見てみたら、Fantomの中に入っているだけでも200曲ありました。もちろんちょっとしたモチーフみたいなものもありますけど。
 
曲作りはどのようにして行われますか? 例えば今から書こうと思って曲作りを始められるのか、日常生活の中で浮かんだフレーズを使って作曲されるのでしょうか?
K: 書こうと思って書いちゃうとなかなかいいものができないので、苦しいことが多いのでお風呂の中とか電車の中とか、散歩をしているとかに思いつくほうが多いです。
 
思いついた曲をその場で書きとめておいてそれをモチーフに曲作りをされるんですね。
K: はい。直感的にコレはいける!と思ったメロディは書きとめることもあります。ただ、お風呂ならお風呂から上がった時に覚えていなかったものは、要らないものだったんだ、と思いますね。 2、3日イメージを暖めたりして、後まで憶えているものがパワーのあるメロディじゃないかと思うんです。
 
電子楽器と生楽器の組み合わせで演奏をされていて、面白い点と苦労する点を教えてください。
K: 私がチェロを厚めにしてオケとか作っちゃうと、他の楽器に埋もれがちになっちゃうのでうまく隙間を作ったり、低音にいく時も少し音を高めにしたりしますね。
Y: でもこの編成はわりと個々の楽器が生きる、意外と面白いことができる形だと思うんです。音域もあまり重ならないし。
 
皆さんバニラムードの活動が初めてのバンド活動なのでしょうか?
K: 私は高校までは電子オルガンでソロをやっていたんですが、高校の途中からジャズ・バンドとアンビエントな音楽をやるようなバンドをやっていました。
 
Keikoさん以外の皆さんも、クラシック以外の音楽にも興味を持たれていたのですか?
W: 結構昔から親の影響でビートルズやエルビス・プレスリーなどを聴いていました。
Y: 私は親が厳しくて、テレビを観るのも禁止だったので、コッソリ隠れて音楽番組を録画するくらいしかできなくて、クラシック以外はJポップくらいしか聴いていなかったんですけど、Keikoちゃんが作ってくれる音楽を聴いて、新しい世界というか、衝撃的なことが多いです。この活動をするようになってからはいろいろ聴くようになりました。
M: 私の場合、普通にJ ポップを聴いていたんですけど、初めてラジオで聴いたクイーンに衝撃を受けて、洋楽も聴くようになりました。受験勉強をしながら聴けるのでラジオはよく聴いていましたね。



   
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