PROFILE:重実 徹
1959年1月6日東京生まれ。子供の頃からピアノを始める。大学在学中、20歳頃からプロとしての活動を始め、キーボード奏者として、山下達郎やCHAGE&ASKA、またアレンジャーとしてKiroroをはじめとする数多くのアーティストのレコーティングやツアーに参加。パーカッション奏者の斉藤ノブ率いるNOBU-CAINEのメンバーとしてもアルパムを3枚リリースし、2000年には自身のソロ・アルバム『Organ J.』をリリースしている。また『ペンタの空』『リスキー・ゲーム』などの映画音楽の制作も手掛け、その活躍の場を広げている。現在MISIAの『星空のライヴ ll』のツアー中。


今回のインタビューはキーボーディスト、アレンジャーとしてご活躍中の重実徹さんのご登場です。重実さんは現在行なわれているMISIAさんの「星空のライヴ ll」で、KR-15を使用されていますので、実際に演奏されての感想もあわせてお聞きしました。





ピアノを習い始められた当初はピアノに対しどんな印象を持っていましたか。
重実徹(以下S)4歳から習い始めて、最初は好きでも嫌いでもなかったですね。ただ、小学生になると発表会でかなりの数の曲を演奏させられたので参ってしまって。それ位の歳になるとクラシックより、ロックやポップスなどの楽しげな音楽のほうに興味が移ってしまいますし、小学校いっぱいでクラシックのレッスンはやめてしまいました。

ピアノからキーボードなどの電子楽器に移行されたのはいつ頃ですか?
S) 結構遅かったんです。実はピアノをやめてから、バンドでギターをやっていたんですよ。そのうち好きなキーボード・プレイヤーが出てきたので、高校の終わり頃からもう一度始めたんです。ただ、そのプレイヤーがハモンド・オルガンをよく弾いているグレック・ローリーという人だったので、かなりオルガンに片寄っていましたね。

高校時代からバンド活動を始められたそうですが、その頃はどんな音楽をやっていたんですか?
S) オリジナルはあまりやっていませんでした。キーボード・プレイヤーの方は、若い頃プログレが好きだったという人が結構いらっしゃいますよね。でも僕にはそんな時期がなくて、アメリカン・ロックの中でも南部系の音楽や、ラテン・ロックなどが好きな高校生でした。

大学時代にプロデビューをされたそうですが、そのきっかけはどのようなものでしたか?
S) 大学生の時に、学生なんだけど音楽業界に入り込んでいるギタリストの友達がいて、某ミュージシャンのツアーのキーボードのオーディションがあるから行ってみない? って誘われたんです。それでオーディションに行って弾き倒したら採用されたんです。それが初めてギャラらしいギャラをもらった最初の仕事でしたね。





現在のMISIAさんのツアーで、KR-15を演奏されていますが、どのような経緯で使用されることになったんでしょうか。
S) ツアーが始まる1ヵ月前とか2週間前からリハーサルが始まるんですが、その時にKR-15を見せていただいて。今日でちょうど本番を4本消化したところなんですが、かなり欠かせない楽器になっています。普段のMISIAのツアーはアリーナクラスの会場が多くて、ダンサーが入ったりセットが凝っていたりと、総合エンタテインメント的なステージが多いんですが、今回はホールツアーで大きな演出もなく、シンプルに音楽を聴かせるというコンセプトになっていますので、ほぼ生演奏のみの構成になっているんです。
KR-15

今回のライブで何曲くらいKR-15を使う曲があるんでしょうか。
S) 日によってセットリストが変わるんですが、だいたい半分くらいはKR-15を使っています。

実際にKR-15を演奏されて、印象はいかがでしょうか。
S) 一番の魅力はルックスがいいということですね。これ、実は結構大事なんですよ。ステージで弾いてお客さんにどう見えるかということもあるんですが、それ以上に弾いている人を「よし、ピアノを弾こう」という気持ちにさせてくれるんです。大屋根とか、鍵盤の両サイドのフレームとかがあるだけで、ピアノなんだな、って思わせてくれる。自分にとってピアノってちょっと特別な楽器でして、先入観かもしれませんが、シンセサイザーでピアノの音源を弾く時とはどうしても感覚が違ってくるんですよね。

鍵盤の機構にもこだわっているのですが、そちらはいかがでしょうか。
S) いい感じの重さで、すごく弾きやすいですね。ただ重いだけだとピアノのタッチとは違うし、指に負担がかかるんですが、弾いた時の衝撃を吸収してくれる、ハンマー・アクションのような重さですね。今回のライブの音源を後で聴いた時に、かなり自分が“ピアノを弾いている気分”で弾いているな、と思っているんですよ。

ステージで演奏する際のセッティングはどのようにされていますか?
S) ピアノのプリセットは、実は1つしか使っていないんです。楽曲によるバリエーションはボリュームの横にあるブリリアンスというツマミがあって、そのツマミでバラードでは甘めに、派手な曲は明るめに調節しています。アナログな感じで調節できるし、弾きながらでも調節できるので重宝していますね。あとイコライザーは最初に決めて、そのまま固定にしています。それから、どこの会場に行っても同じ音をキープできるのは嬉しいですね。生ピアノだと、音圧のある他の楽器と一緒に演奏して音が聴こえない時も、PAの人のお任せになっちゃいますが、KR-15なら自分でボリュームを調節することもできるので重宝しています。

MISIAさんのライブではフレーズとかがライブごとに違ったりするんですか?
S) もちろんそうです。クラシックの譜面みたいなモノがあってそれを忠実に再現しているわけではないので、毎回細かい部分は違ってきます。実はMISIAというシンガーは、生まれてこのかたライブハウスで歌ったことがないらしいんですが、ボーカルでセッションするのが凄くうまい人なんですね。お互いの演奏を聴きながら、その時の感じで歌い方を変えていくし、僕たちもその歌を聴いてインプロビゼーションしていくんです。MISIAの曲って大体どの曲も最後にフェイクが入っていて、それは完全に彼女のその場のアドリブなので、演奏するほうも毎回違う演奏を楽しめるんですよ。



   
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