Profile
1994年、NYで出会った羽鳥美保とチボ・マットを結成。ミッチェル・フルーム&チャド・ブレイクという奇才オルタナ・プロデューサーを迎えた、1996年発表のメジャー・デビュー・アルバム『ヴィヴァ!ラ・ウーマン』がCMJチャートで6週連続1位を記録。1999年からはショーン・レノン、ティモ・エリス、デュマ・ラヴを加え5人組での活動を開始。Yoshimi&Yukaのユニットでの活動の他、ソロ活動では2枚のアルバムをリリース。また、プロデュースなども多数手がけている。
http://www.damoon.net/yuka/

パニカラックスの音楽監督を担当するに至った経緯を教えてください。
本田ゆかさん
(以下本):
昔、彼女の曲をプロデュースしたこともあるんですけど、ともえちゃんとは随分以前からお友達なんです。私は普段はN.Y.に住んでいるのですが、今回、彼女がパニカラックスの構想を持っていた時に、たまたま私がよく日本へ帰ってきていたので、彼女から一緒にやって欲しいと言われて、ぜひやりましょうという返事をしたんです。

その時音楽とダンスの融合がテーマのひとつだということは知っていらっしゃったんですか?
本: ええ、篠原さんからそういうことをやりたいと説明されました。

今回のライブでの曲はすべて本田さんが作られているんですか?
本: 一番最初はともえちゃんが作ってきた6曲くらいを聴かせてもらって、その中から2曲私がプログラムとアレンジをして、それ以外の曲は2人で作りました。私は自分で作った曲をボーカリストに渡して歌ってもらうというのが好きじゃないんですね。その人に合わせて作っていくことが好きなので、彼女とおしゃべりしたりお菓子を食べたりしながら、少しずつ「こういうことをやろう」って曲を仕上げていきました。2人でジャムったりしながら自然に出てくるものを使って曲を作る。お料理もそうじゃないですか? 素材の味を活かしたほうがオイシイでしょう。


今回V-Synthを使用されていますが、これはなぜお使いなんですか?
本: V-Synthに付いているDビームという機能を開発された方ともずいぶん昔からお友達なんですけど、昔からこの機能が好きだったんです。このバンドはパフォーマンス性が高いので、Dビームのような面白い楽器の使い方を見せたら面白いんじゃないかと思ったんですね。毎回普通に音を出すだけではなくて、音に変化を付けて即興性を持った演奏をしたいと。基本的に音楽は私が1人でやっているから即興性が薄いんですよ。だから音に変化を付けたい時にDビームがあると凄く便利です。

ではDビームがV-Synthを選んだ理由なんですね。音自体はいかがですか?
本:  ローランドの昔のシンセサイザーで、Junoという楽器の音が好きなんです。アナログの音が太いシンセが良かったんですね。V-Synthはパットも存在感があって、ちょっとテクスチャーがあるものが欲しいと思った時は、V-Synthの中から波形を使って音を作ったりしたんですけど、まだ使い始めて期間が短いのであまり使いこなせていないかも知れません。
V-synthの横にあるエディロールのコントローラーでは何をされているんですか? 
本:   リーズンとライブっていう2つのソフトシンセを音源としてコンピューターの中に入れていて、これらを使ってプログラムしたものを全部このコントローラーで操作するんです。まずコントローラーでいろいろ入力をして、ライブ中に音を出したりとか、マスターボリュームのフェードイン、フェードアウトに使っています。
本田さんは今までローランドの楽器をいろいろと使われてきていると思いますが、一番使ったのは何ですか? 
本: 何だろう? 私が一番最初に買ったシンセってD-50なんです。おじいちゃんに買ってもらったんですけど、それ、なくしちゃって本当に残念なんですよ。あとはD-550、JunoとかJupiter、あとTR-808とか、割と古いものが好きですね。これらは今もN.Y.で使っています。最近の楽器だとグルーヴ・ボックス、MC-909ですか? あれはいいですね。

ローランドスタッフ(以下ロ):本田さんといえばチボ・マットでの活動ですが、そちらで使われている楽器はありませんか?
本: そうだ、忘れてたけど、DJ-70が一番よく使ってる楽器だ。イタリア人の人が作ったって聞いたんですけど、これが凄く変わったサンプラーで、チボ・マットを始めて、どういう音楽にするかを考えている時に、楽器屋でたまたまDJ-70を見つけて、わりと衝動的にインスピレーションで買って、全部の曲をDJ-70で作ったんです。ドラムパッドがついているからドラムループを出しながらホールドして他のパッドを弾いたりとか、スクラッチウィールを使ってインプロの時に面白いことをしたり、いろいろ遊ばせてもらっています。DJ-70で作ったサンプル音を、そのままサンプルとして出すのではなく、弾く音色として使うのが好きですね。N.Y.で、ジョン・ゾーンとかがインプロビゼーションのライブをする時に呼んでくれるんですが、シンセサイザーでも普通のキーボードでもでないような音を、DJ-70で作って弾くスタイルはわりとみんなから気に入ってもらえる。そういうことする人があまりいないんですよね。

ロ:本田さんご自身の活動の中で、今後のトピックスはありますか?
本: すでに決まっているのはショーン・レノンのライブと、日本でレコーディングしたボニー・ピンクさんの曲のミックスの仕上げをN.Y.の自分のスタジオでやります。


ローランド製品の好きな点、また、今後求める点はありますか。
本: 私はローランドさんと一緒に女の子が使えるような楽器を作りたいな。色がピンクだったり、ボタンも星形とかハート形だったり、すぐに音が作れて、ボーカルも録音できる小さくて軽い楽器。自分で持てるサイズならどこにでも持っていって演奏できるし。あと、買った時に最初に出る音が音楽に使いやすければいいなと思います。

では最後に、読者にメッセージをお願いします。
本: 電子楽器って最初はとっつきにくいと思うんですけど、やったら絶対楽しい。機械は男の人のもの、プロが使うというイメージがどうしてもあると思うんですが、私の希望としては女の子とか、普段音楽をやっていない人に気軽に使ってもらって、まずは音楽を作る楽しさを知って欲しいと思います。みんなアイディアも持ってるし、やりたいことも持っているはずなのに、とても難しいことだから、自分にはできないと思ってるだけで、本当は音楽を作ったことがない人でも結構できるもんですよ。自転車に乗るような感覚に近いかな。音楽を作るようになれば、音楽自体を聴く耳も変わってくると思うし、普段の生活の中にも音楽が入ってくるようになって楽しいですよ。




 
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