みどりん
Profile:みどりん
社長(Agitator)、タブゾンビ(Tp)、丈青(P)、元晴(S)、みどりん(Ds)、秋田ゴールドマン(B)の6人により、2001年に結成された爆音ジャズ・バンド、 SOIL&“PIMP”SESSIONS。クラブシーンを中心に国内での人気が高まり、数々の大型ロック・フェスに出演。2005年4月にアシッド・ジャズの生みの親で、トーキン・ラウドレーベルを主宰するジャイルス・ピーターソンが、自身のラジオ番組「ワールドワイド」で音源をかけたことで、ヨーロッパでの人気に火が付き、以降4度にわたりヨーロッパ・ツアーを成功させている。ライブ・パフォーマンスを中心とした活動を身上とし、確かな演奏力とクールな雰囲気を漂わせながらも、ラフでエンターテインメント、バースト寸前の爆音ジャズで、ワールドワイドに活躍中。3月7日に3rd アルバム『PIMPOINT』をリリースした。
今回のインタビューは日本国内のみならず海外の音楽フェスティバルにも参加し、ワールドワイドに活躍するジャズ・バンド、SOIL&“PIMP”SESSIONSのドラマー、みどりんさんのご登場です。ご自身の音楽について、ご使用になられているV-Drums、HandSonic10を使っての感想などをお聞きしてきました。

音楽をするならドラムと最初から感覚的に決めていた
 
まず始めに、音楽を始めるきっかけをお教えください
みどりん
(以下、M):
僕は昔からサザンオールスターズが大好きなんですが、 中学生くらいの頃、サザンのライブで演奏している松田さんのドラム・ソロを聴いて、初めてカッコいいと思ったんです。それがドラム、音楽をやろうと思ったきっかけですね。あとは、父親がジャズが好きだったので、家でも音楽がよく流れていて、音楽に親しみを持っていたことも影響したかも知れません。ちょうど中学生くらいの頃って、興味を持った事柄について情報を収集して取り入れる時期ですから、家で流れているジャズだけでなく、自分が好きなアーティストの演奏などをテレビやラジオで良く聴いたり見たりしていました。
 
ドラムを選ばれた理由は何でしょうか?
M: ドラムを選んだ理由って、うまく説明できないですけど、もう、見た瞬間にドラムがカッコいい、ドラムをやろうと感覚的に決めていましたね。それから、音楽をいろいろ聴くようになると、自分が音楽を聴く耳がちょっと変わってきたのか、ジャズのピアノ・トリオのCDを聴いても、どうしてもドラムに耳がいくようになっていたんですよ。
 
ドラムを始めた当初の練習はどのようなものでしたか?
M: 高校生の時にブラス・バンドでパーカションとコントラバスを兼任でやっていたんですが、ブラス・バンドだとドラムを専門的に教えてくれる人がいなかったんですよね。だから、ちゃんと勉強を始めたのは大学のサークルに入ってからです。先輩に、スティックの持ち方、姿勢といった基礎から教えてもらって、ルーディメント、コンビネーションと、順を追って覚えていきました。
 
その時はご自分のドラム・セットはお持ちだったんでしょうか。
M: いや、持ってなかったですね。しばらく学校にある楽器を使っていたんですが、それもちゃんと叩けるようになるまで触らせてもらえなくて、最初の3ヵ月は練習用のゴムのパッド1つを集中して叩き続けるような感じ。ドラムを触るまでに半年かかりましたね。
 
ずいぶん厳しいサークルですね。
M: 大学のジャズ研なんですが、かなり真面目でしたよ。もう、高校生の時にジャズ・ドラムをやろうと決めていたんですが、高校だと有名なジャズ研がそれほど多くはないので、ジャズ研に入るために大学へ行こうと決めたんですよね。あまりちゃんとした目的じゃないんですけど……専攻も経済学部だったし(笑)。
 
先ほどおっしゃっていた松田さん以外に、ポップスやロックではなくジャズ・ドラマーで影響を受けた人はいらっしゃいますか?
M: ドラマーで一番最初に凄いと思ったのはエルヴィン・ジョーンズです。ジョン・コルトレーンのバンドで叩いているライブ音源があるんですけど、それが凄くて。ジャストなのにノリは凄く揺れてて、うねる感じなんですよ。そこからいろいろ聴くようになって、アート・ブレイキーやトニー・ウィリアムス、ケニー・クラークとかを聴くようになって、そのうち、ジャック・ディジョネットとか、変わった方向にもいくようになるんですけどね。2拍4拍でハイハットが鳴ってないジャズ・ドラムなんて初めて聴いたから、最初は「何でこの人ちゃんとビート出さないんだろう?」って凄く気持ち悪かったんですけど、後から、すべてを合わせてビートだったんだって気がついたんです。
 
「すべてを合わせてビート」とはどういう意味ですか?
M: 例えばスネアの1打、ハイハット、シンバルの1音を全部、並列に組み立てていったら全体でビートを刻んでいることになるんです。それに気がついた時は、ああそうか!って、衝撃を受けました。それまでは、ジャズ・ドラムは2拍4拍でハイハットが鳴っていなくちゃいけないものだと思い込んでいたんですが、何やっても良いんだって思えるようになりました。ジャック・ディジョネットが、今、一番好きなジャズ・ドラマーですね。とにかくアプローチが変則的で面白いんですよね。
 
ジャズは自由な音楽だと再確認して SOIL&“PIMP”SESSIONSを結成
 
みどりんは、ジャズをどう定義をされているんでしょうか?
M: なんでもあり、なものですね。とにかく自由にのれる音楽がジャズです。僕はずっと、ジャズはこうなんだ、こうじゃないとダメなんだ、という感じが嫌だったんですよね。もっとお客さんを盛り上げるようにドカスカやりたいけど、ジャズのライブ・ハウスの音響はそういう仕様じゃないし、聴きに来ているお客さんも僕らを品評会みたいな感じで見ている気がしたんです。今では、そういう感じもジャズなんだ、と思うんですけど、最初はお客さんと演奏者の間に仕切りがある感じが嫌でしたね。
 
お客さんも「ジャズとはこうあるべきだ」というものを感じているんでしょうね。
M: うん。音楽の聴き方は人それぞれだから、それでもいいんですけど、僕はもどかしさを感じていたんですよ。演奏が終わった後もお客さんに「ここはこうしなきゃダメだよ」という断定的な言われ方をして、それってどうなんだろうな?って思いつつもすべて鵜呑みにしてしまって、どんどん閉鎖的になっていっちゃったんです。そういうもどかしさを感じている時にSOILに入ったんですね。当時、SOILというバンドはみんなで楽器を持ち寄って、セッションみたいな感じでライブをするクラブ・イベントが母体だったんです。DJイベントの中のアトラクションの1つとしてセッションがあって、いろんな人が入れ替わり立ち代わりやって来て演奏をするんですけど、そのセッションの中でみんながアイデアを出し合って曲を作っていく過程に自由を感じたんです。それをみんなで共有したいと思ったので、ある程度固まってきたメンバーでバンドとして活動を始めたんです。
 
みどりんのドラム・スタイルの基本はジャズですが、いろんなジャンルからの影響を感じます。その影響を感じる1つにソウル・フィーリングもあるんですが、黒人音楽もどこかで取り入れた時期があるんでしょうか。
M: ありますね。ジャズをやろうと思って大学のジャズ研に入って、ジャズって黒人音楽のひとつだから、その黒人音楽をどんどん突き詰めていったら、ジェームス・ブラウンやスティービー・ワンダーのような存在がいて、それらが枝分かれしていく方向でどんどん聴いていったんですね。また、僕らが大学生だった当時はアシッド・ジャズと言われる音楽を聴いている人が周りに多くて、そこから吸収していったものも多いです。
 
では、ロック・ドラムに触れたのも大学に入ってからなんですか?
M: それは高校なんですよ。僕はプログレッシブ・ロックが大好きで、キング・クリムゾン、YES、ピンクフロイド、EL&Pなどは今でも聴き返しているんですよね。変拍子だったり、シンセもビンテージ機材ををズラーッと並べていたりして、ああいう音が好きでしたね。時代のテクノロジーを取り入れて、プログレも進化していく感じ、クリムゾンの音楽はそれが顕著に表れていますよね。
 
今、キング・クリムゾンのドラマーはV-Drumsを使っていますよね。
M: そう、パット・マステロットが使っていますよね。結構ガタイがよくて、武闘派みたいな感じの人なんですけどね。太ったスティーブン・セガールみたいな顔してるんです(笑)。
 
みどりんのドラム・スタイルや音楽を繋げるキーワードは、「自由であること」でしょうか。
M: そうかも知れません。フリー・テンポでやる音楽も自由だと思うし、ガチガチにグルーヴしている音楽でも、聴いていたら音の向こう、遠くに地平線が見えるような音楽ってあるじゃないですか? どこまでも、地平線の果てまでもそのグルーヴが続いていくような感じ……、それも自由だと思うんです。結局、演奏者が自由だと思って演っている音楽はすべて自由だと思いますけどね。



   
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