インタビュー嫌いで有名なジェフ・ベックが、珍しく取材に応じるという。私は、胸を躍らせてロンドンへと飛んだ。なにせ中学時代、ヤードバーズの“シングル盤”を買って以来35年間、彼は私にとって唯一無二のギター・ヒーローなのだから。映画『欲望』の中で、ジェフがギターを叩き壊した瞬間、私は「ROCKが何であるか」を理解した。

若い! ジェフは、とても56歳になる男には見えなかった。柔らかい笑顔で「さあ、今日は何でも聞いてくれ」と。溢れるほどの質問にひとつひとつ丁寧に答えてくれたジェフだが、MC Clubの読者には音楽的な部分を抜粋してお伝えしよう。1999年、10年ぶりのアルバム『フー・エルス!』を聴いて、心底ブッ飛んだ。続けざまに新譜『ユー・ハッド・イット・カミング』が届き、私の身体は、喜びと驚きで震えた。

インタビュー&文:伊丹 由宇(Yu Itami)



 Jeff Beck [PROFILE]

ギタリスト。イギリス出身。1944年生まれ。エリック・クラプトン、ジミー・ペイジらと並び、ロックの3大ギタリストと呼ばれる。1966年ザ・ヤードバーズ脱退後、1967年から1972年までジェフ・ベック・グループとして活動、2年間のベック、ボガート&アピスの活動ののち1975年よりソロ活動、現在にいたる。1999年10年ぶりの新作『フー・エルス!』をリリース。続いて2000年にも、『ユー・ハッド・イット・カミング』を11月15日にリリースしたばかり。クラシック・カーいじりが趣味という56歳のスーパー・ギタリスト。


ジェフ・ベック(以下J):『フー・エルス!』をつくった時、現在のジェフ・ベックという存在を自分の中でつくり上げたという満足感があってね。ツアーを続けている間にバンドのエネルギーも凄く高まってきた。ここで休んでしまうと、エネルギー・ダウンしてしまうような気がして、すぐにまたスタジオに入ったんだ。


『ユー・ハッド・イット・カミング』は世界最強とでもいうべき強力なエネルギーに満ち溢れたギター・アルバムだけど、アルバムとして結晶するまでの過程には、何か隠された理由があるのでは?
J:フラストレーションが、いい意味でエネルギーに転化している。昔は、バンドがスタジオに入って1週間くらい1曲を練習していると、マンネリになってしまう場合が多かったけど、現在はテクノロジーの発達で、アイディアが出たら即レコーディングできる。その瞬間的なエネルギーがアルバム全体を貫いている。


プロデューサーがアンディ・ライト(ユーリズミックス、シンプリー・レッドなどを手掛けている)に代わったのは?
J:瞬間的なエネルギーをそのままスピーディに編集できるということで、アンディ・ライトに頼んだ。今回のアルバムは、実質的に2週間半位ででき上がったんだ。前回は作曲してくれる人がたくさんいて、いろいろ問題が重なったけど、今回は僕自身で書くしかないところに追い込んでいって、それで彼の存在によって、方向性もより明確になり、お互いすごく上手くいったと思っている。


使用ギターと機材については?
J:ギターは、フェンダー・ストラトキャスター(ジェフ・ベック・モデル)、アンプはマーシャル・アンプJMC2000。マイクはSM57。とにかく統一性を出したかったので、機材はほとんど変えてない。
普通のライブでは、ジェフのアンプのセッティングは[1]か[2]らしい(!)。女性ギタリストのジェニファー・バトゥンも参加しているが、ほとんどの主要なギター・パート は、ジェフ自身が弾いている。他のメンバーは、スティーヴ・アレクサンダー(Dr)、ランディ・ホープ・テイラー(B)他。


 

Copyright(c) 2000-2004 Roland Corporation All rights reserved