長年ローランドをはじめ数多くの電子楽器を使われてきたわけですが、今回使われた機種についてもお聞きします。まずはV-Synthから、使われて感じた印象をお教えください。
G:
▲JP-8000
 
V-Synthを使った数ヵ月間は発見の連続でした。私がシンセに求めるもの、欲しいと思う機能はアナログ系からデジタル系まで、すべて揃っています。びっくりしたわけはたくさんあるのですが、中でも昔のアナログ・シンセの音が全部再現されていて、さらにPCMオシレーターも内蔵されていること。V-Synthにたどり着く前はD-50やJP-8000を使っていました。D-50に関しては凄く特徴的な音が入っていて、当時いろんなレコードの曲に使われていて、聴くと「あれはD-50の音だ」とすぐ気が付くくらい印象的な音があるのが魅力です。その後JP-8000が登場し、発売当時からよく使っていました。このようにローランドの機材を使ってきていて、今回V-Synthにたどり着いたんですね。
 
今回JUNO-Gのデモを制作されましたが、JUNO-Gの印象と曲制作についてをお聞かせください。
G: JUNO-Gのデモ・ソングですね。これは12月から制作を始めたのですが、とてもチャレンジングなものでした。まず、取り扱い説明書がなかったですから(笑)。でも私はMC-80というシーケンサーを今でも使っていて、操作がとても似ているので、マイクロエディットの仕方や音符をスクロールしていく方法が似ていたので、問題なく操作できました。JUNO-Gでまず一番驚いた理由は、音のクオリティ。ピアノやストリングスは特に素晴らしいですね。これだけの技術をリーズナブルな形で提供していることにもビックリしました。
 
今日のステージではFantom-X8とVP-550もお使いですが、新製品のVP-550についても感想をお聞かせください。
G: ハイファイでいい音が揃ったシンセですね。たまに詰まった感じの、クリアではない音がするシンセもありますが、ローランドのシンセはとてもクリアな音がすると思います。私はVP-550を主にボコーダーとして使うのですが、中に入っているストリングスやクワイアの音のクオリティが良くてビックリしました。パネルのレイアウトもアンサンブルセクションがあって、ボコーダー・セクションがあって、という風にハッキリしていて、一目瞭然なので使いやすいですね。私は時々、エイジアで演奏する時に足元にPK-5をセットし、1つの鍵盤ごとにサンプルをアサインしてトリガーしているんです。テンポがずれてきたらアサインし直すのにPK-5はとても便利なんですよ。
ただ実は、どのサンプルがどの鍵盤にアサインしてあるか覚えておかないといけないこともあって、時々操作がトリッキーになることもあるんです。今回、VP-550を使用したおかげで私の演奏の自由度が増しました。それはエイジアでのバックのコーラスはコードとマッチしているので、自分の弾くコードとバックのコーラスは同じコーラスで出てくる。だから今度、エイジアでの演奏の時に、自分はオルガンやパッドを弾きながら、VP-550をMIDIでコネクトしてコードを弾きながら、自分でコーラスも追加してみたいと思います。それが今度VP-550で実験してみたいことの1つです。このセッティングのメリットは、自分の別のバリエーションも作り出せることですね。
 
また、SH-201もセッティングに組み込まれていましたが、これはどのように使われるのでしょうか。
G: SH-201はサウンド・クオリティが高い。チープな音ではなく、想像できないようないい音が出ます。私がシンセに求めるもの、アルペジエーター、LFO、エフェクト、Dビームなどのパラメーターはもちろん、簡単なレコーダーも付いているので音づくりのワークステーションとして活躍するシンセだと思います。ワークステーションというと普通はシーケンサーを思い浮かべると思いますが、SH-201は紛れもなくサウンドのワークステーションです。レイアウトも分かりやすい。私は旅行などの時に持って行き、ホテルの部屋などで使いたいです。このレコーダー部分はシンプルなものですが、ちょっとしたアイデアを録音でき便利です。そのようにしてレコーディングしたアイデアは、持ち帰って大きなワークステーションに移して使うんです。
 
 
ご自身が楽器を選ぶ際に求める点は何でしょうか?
 
▲D-50
G: 私は特徴的な音を求めます。かつてはD-50など、特徴的な音をしたシンセサイザーがありましたね。今回のセッティングの中でもV-Synthは特徴的な音を持ったシンセなので、特によく使っています。私はV-Synthで他のシンセサイザーとどれだけ違う音を出せるかを試しながら、レコーディングでも使っています。特にビックリしたのは、通常は音をいくつか重ねていくと、グシャッとした1つの音になってしまうんですが、V-Syhthの場合はどの音を重ねてもそれぞれがクリアにきれいな音として、かつきちんと重なって出てくることでした。
 
MC Clubの読者には音楽を楽しんでいる人たちがたくさんいます。どうすればジェフリーさんのような世界的に活躍するアーティストになれるのか、何かアドバイスをいただけますか?
G: 楽器とじっくり向き合う時間を作り、その楽器からいろんな可能性を引き出して使うことが大事です。私もバグルス時代は楽器から良さを引き出すためにゆっくり時間をかけました。次に大切なことは、音楽に対するパッション。音楽を楽しむことです。私は今も、いろんな楽器の可能性を引き出すためにチャレンジをし続けている最中です。常に新しい楽器と出会い、エキサイトしながら音楽を楽しんでいるんですよ。
 
テクノロジーが発達して、使いやすい楽器がどんどん登場してきますが、絶えず新しいものを取り入れ、テクノロジーとともにジェフリーさんの音楽もあるわけですね。
G: はい。私は積極的に新しいテクノロジーを取り入れていきたいと思っています。その思いは今も昔も変わりませんよ。昔、ハンス・ジマーと「将来はきっとデジタルのメロトロンが登場して、オーケストラの演奏が1台の楽器で弾けるようになるだろう」と話していました。実際、ついにその夢が叶ってとても嬉しいです。
 
 
では、今後の活動について、展望などをお教えください。
G: 今回のサウンド・スパークでの演奏が終わったら、イギリスでジョン・ウェットンと一緒にいくつかコンサートをやります。3月末にフランクフルトで開催されるローランド主催のイベントでは、ジョン・ウェットンと一緒に演奏をします。今年はエイジア結成25周年のプロジェクトが進行していて、8月にオリジナル・メンバーで再結成し、全米でツアーを行います。年末には新しいCDとDVDを発売しようと思っています。また、MTVの放送がスタートして、一番最初に流れたビデオ・クリップは「ラジオ・スターの悲劇」なので、MTVの20周年の時は招待されたので、25周年の時も招待されたら面白いですね。20周年の時はガンズ・アンド・ローゼスのスラッシュと会ったけど、彼は凄く面白い人だった。MTVのイベントは、演奏は特にしないけど、いろんな人に会えるのでとても楽しいんです。それから、アラン・ホワイトのバンドに参加し、シアトルでレコーディングした『ホワイト』というアルバムが3月に発売されます。また、同じ時期にソロ・アルバム『ザ・ブリッジ』も発売される予定です。
 
レコーディングで、バイノーラル録音をされたとお聞きしましたが。
G: アルバム『ザ・ブリッジ』のレコーディングでのことです。教会にJP-8000を持ち込んで、録音する時にはマイクを2本持って、いろんなところにマイクを動かして持っていって、動きのある音を録音しました。
 
では最後に、日本のファンにメッセージをお願いいたします。
G: みなさんサポートと、音楽を聴いてくださってありがとうございます。これからもいろいろと出てくる私の作品を楽しみにしていてください。
ジェフリーさんはとても穏やかな口調で、丁寧にお話をされる方でした。今年エイジアは結成25周年を迎え、全米ツアーを行うとインタビュー中にもお話がありましたが、インタビュー後、もしかするとこのツアーは日本でもライブをするかも知れませんと教えてくださいました。またジェフリーさんのライブが日本で観ることができる日を楽しみに待つことにしましょう。

※インタビューは2006年2月11日に行われました。本文中でジェフリーさんがお話しされているイベント、フランクフルト・ムジーク・メッセ 2006はすでに開催され終了しています。



   
Copyright(c) 2000-2006 Roland Corporation All rights reserved