チャランガ・アバネーラ:BAND PROFILE
チャランガ・アバネーラは、1980年代に、モナコのクラブでキューバ伝統音楽を演奏するための営業バンドとしてスタート。当時はバイオリン、フルートをフィーチャーしたチャランガと呼ばれる音楽編成で、ダビ・カルサードは第1バイオリン奏者だった。1991年に音楽ディレクターとなったダビは、バンドを新たな方向性に向かわせる。彼が目指したのは、エンターテインメントとして確立された現代の音楽を演奏するグループ。翌年デビュー・アルバム 『Me Sube La Fiebre』をリリース。一瞬にしてキューバの若者を虜にし、その人気は社会現象に。1年目にして、キューバのトップグループにかけ上がり、その後とんとん拍子に地位を確立。アルバムがリリースされる毎に高まる人気はキューバ国内に留まらず、ヨーロッパでもブレイク。数々の海外公演で成功を収め、1999年には初来日を果たす。競争が激しく、トップを保ち続けることは容易ではないキューバ音楽界において、現在人気・実力ともに最高峰のオルケスタである。2002年、初のライブ・アルバム『LIVE IN U.S.A.』をリリース(2003年ラテン・グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・トロピカル・アルバム」部門ノミネート)。メンバーはキューバ国立芸術音楽院や公立音楽院出身者など14名で構成されている。
 

今年の夏は「夏らしく」ない。しかしながら、だからこそ夏気分いっぱいのラテンを楽しみたい。でもって、ラテン音楽数々あれど、ここ最近注目を集めるのがキューバ音楽。ライ・クーダーのプロデュースによるアルバム『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1997年)のヒットにより(映画も)、世界的に流行したキューバ音楽だが、それ以降の動向はなかなかつかめない。

そもそもキューバは15世紀にコロンブスが到達して以来、多くのリズム(音楽)を作り出してきた。伝統的な「ソン」に始まり、「ルンバ」「ハバネラ」「マンボ」など。またそれらを基礎としてニューヨークでは「サルサ」が生まれた(1959年のキューバ革命によりアメリカと国交断絶のためキューバ人ではなく他のスペイン語圏の人たちによるが)。そして近年、キューバの新世代ミュージシャンたちはさまざまな音楽ジャンルのエッセンスを取り入れ、「サルサ」をさらにハードにエネルギッシュに変貌させている。彼らはそれを「ティンバ」と呼ぶ(ハードなサルサという意味で“サルサ・ドゥーラ”とも呼ぶ)。今回はティンバの雄、ダビ・カルサード・イ・ス・チャランガ・アバネーラのリーダーであり、プロデューサーのダビ・カルサード氏にインタビュー。

9月の東京公演を前に、長崎のハウステンボス「クラブトロピカーナ」で連日ライブを行っている氏にお話を伺った。また彼らも含め、キューバの歌姫ハイラ・モンピエも登場する今回の日本公演をプロデュースする作家の村上龍氏にもコメントをいただいた。

親交の深いキューバのディーバ、ハイラ・モンピエとのコラボレーションが今回の日本公演でついに実現。


 
 

 

来日は何回目ですか?
ダビ・カルサード(以下D) 今回が4度目です。


結構来ていらっしゃいますね。日本の印象を簡単に教えてください。
D) 東京や名古屋、福岡にも行きましたが、日本はやはり印象深いところです。自分の知った観客の中でもっともインテリジェンスな方たちです。キューバ音楽を聴く時に、ボレーロも含めたトラディショナルな音楽や、チャランガ・アバネーラの演奏する音楽「ティンバ」など、そのすべてを心得ているんですよ。これまで3度行ったどのコンサートも私の記憶にすべて残っていますし、素晴らしい印象を持っています。

キューバ音楽のここ何年かの流行、音楽的な流れはどのような感じでしょうか、その中でチャランガ・アバネーラが占める位置は?
D) 世界に届いているキューバ音楽というものは50年代〜60年代のままなんじゃないでしょうか。私たちはそれをキューバのトラディショナル音楽と呼んでいます。とても綺麗な音楽です。自然のなりゆきとして音楽も時代に合わせて進歩していかなければなりません。キューバ音楽はこの約30年間、さまざまな出来事が起き、変化し続けていますが、チャランガ・アバネーラは革命的なものです。サウンド、音色の面でも、それから演奏内容、歌詞、ステージ・パフォーマンス、すべてにおいて革命的で、ここ15年間でキューバ国内でもっとも観客動員数が多いアーティストの1つです。その記録は続いていて、それが今、キューバで起こっているもっともクレイジーなことです。

最新アルバム『ソイ・クバーノ、ソイ・ポプラール』にもいろんな音楽的要素が入っていますが、それはチャランガ・アバネーラ自体の変化ですか。
D) 私たちは常に時代とともに変化していくことを目的としています。前進していくんです。



楽器についてお聞きしたいんですが、キューバでは電子楽器はたくさん使用されているんでしょうか。
D) はい。キューバには楽器工場がありませんが、アメリカやメキシコから入ってきます。キューバのグループ大多数が使っている電子楽器はローランド製です。そして私たちにとっても、私たちの音楽を演奏するために必要な音色を最も兼ね備えたのがローランドの楽器なんじゃないでしょうか? ローランドに感謝しています(笑)。私はRD-500、RD-600の2台を持っています。今回のツアーではRD-700を使用していますが、これはレンタルしたものです。


   
  本格派ステージ・ピアノ、RD-700を使用するチャランガ・アバネーラのキーボディスト、エルデル・ロハス。  


ダビさんが一番最初に買ったローランドの楽器はなんでしょうか。
D) RD-500です。使用頻度が高いのと、打楽器のような激しい演奏方法をするので、年数が経ってくると鍵盤のタッチが変わってきてしまうんです。それはごく自然なことですし、それで買い換える必要も出てきます。

基本的なことを伺いますが、なぜ生ピアノではなく電子ピアノなんでしょうか。
D) 生ピアノはどんなに小型にしても場所をとります。「クラブトロピカーナ」でのショーのように1ヵ月〜2ヵ月滞在するのであればそれは可能ですが、通常は、私たちのオルケスタは世界各地を転々としています。その度に生ピアノを移動させることを想像していただければ分かると思います。あとは舞台の広さも、行く先々で違ってくるので、音のしっかりした電子ピアノのほうがいいんです。

ハウステンボスの「クラブトロピカーナ」で連日ダンサブルなライブを繰り広げる
チャランガ・アバネーラ。

 




   
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