Profile:COLDFEET(コールドフィート)
日本のブレイクビーツ・シーンをリードする 、Lori FineとWATUSIによるユニット。 Loriの刺激的な詩、耳から離れることのないメロディと、WATUSIの高度な技術と完成に支えられた独創的なトラックは、海外での評価も高く、アメリカ、ヨーロッパでのリリースも多数。中島美嘉、ケミストリー、K.、BoA等数多くのプロデュースも手がけている。印象的かつ多彩な表現力を備えた彼等のビジュアルは、ファッション界においても注目度が高く、コレクションの音楽作成なども積極的に行っている。
 
今回のインタビューはCOLDFEETのお2人がご登場です。取材当日は彼らにとってのホームタウンともいうべきRinky Dink Studioにお伺いして、お2人が音楽を始めた頃のエピソードから楽器選びや音作りについてまでお話を伺ってきました。
 


まず、お2人が音楽を始められたキッカケからお聞きしたいんですが。
Lori(以下L):最初は7歳上の兄の影響。夜になると兄が隣の部屋でたくさんの音楽を聴いていました。ディーヴォ、ゲイリ−・ニューマン、ザ・カーズなど、そういうカインド・オブ・ニューウェーブでしたね。それが寝ようとしている私の部屋にも聞こえてきて、好きになりました。それに、私の母は日本人で琴を演奏しているので、いつも彼女の練習を聴いていたし、父はニューヨークのブロンクス生まれでジャズをいろいろと聴いていた人ですから、私はパパのジャズのカセットとママの琴を聴きながら育ちました。でも……、ピアノ・レッスンは嫌いでした。ちょうど私が凄く観たかったテレビ番組の時間だったから、それで嫌だったの(笑)。
習い事ではなく、自ら音楽をやろうと思い立ったキッカケは何でしょうか。
L: 音楽自体は凄く好きだったから、自然に何かを自分で作りたいという気持ちになったんでしょうね。カセットテープ・デッキが2つあったので、まず、1つにピアノを弾きながら歌ったものを録音して、それに何度も声を重ねて録音をしてみたり。でもピンポン録音を繰り返すほどにどんどんテンポが速くなってしまって、でき上がったらもの凄く速いスピードの曲になっていましたけど、そういう遊びが楽しかったですね。
WATUSI(以下W):彼女は今、僕が渡したローランドのVS-1680を使っているんですね。それで彼女はオケを2チャンで録って、残り14チャンは全部、声のフレーズを入れてきたりしたんですよ、びっくりしました。子どもの頃からそういう作曲方法だったんですね。

最初の頃はどんな音楽を作っていたんですか?
L:  今と同じで「どんな音楽ですか?」と聞かれると困るんですけど、決してジャズやクラシックではなくて、私流によるニューウェーブ・ポップだったと思います。ピアノは家のまん中に置いてあって、家はあまり壁とかがない家だったから……。
W: 録音する時に家族みんなが静かにしなくちゃいけない?
L: L:そう(笑)。だからみんな困っちゃったみたいで、シンセを買ってあげるって言われたの。そうすれば自分の部屋で遊ぶから静かになると思ったみたい。それで真っ先にローランドのシンセを選んで買ってもらったの。だから私が最初に使ったシンセはローランドのJUNO-60だった。その時はまだ、そんなにシンセを売ってなかったし、とても豪華なイメージでした。


WATUSIさんが音楽を始められるまではどのようなものでしたか。
W: 小学校の時がフォーク・ブームで、アコギを買って弾くようになって、中学くらいでエレキに移行しました。本気で弾くようになったのは中学でエレキを始めてからですね。でも、友達同士で集まってバンドを始めたんですが、一緒にギターを始めた友達がもの凄く上手くなっちゃって、いつのまにかベースにコンバートされちゃった(笑)。その後はグラム・ロックにインスパイアされて、原宿に行ってロンドンブーツとかサングラスとか、派手な衣装を買って喜んでいたロック少年時代を過ごしていました。それから大学に入って、軽音サークルに入ったんですが、そのサークルにも在籍していた先輩が福生にあるライブハウスに所属していて、米軍基地の外人相手にライブをしていたんです。僕もそのバンドに入って基地を回っていたので、その年は見事に大学へは3日しか行かずじまいでしたね。その後は大学に復帰して、あるバンドに参加してデビューしました。それがちゃんとレコーディングして曲をリリースした最初ですね。

打ち込みでの楽曲制作を始められたのはいつ頃ですか。
W: 大学時代、まだ打ち込みの音楽が出始めたばかりの頃だったんですけど、カラオケや映画音楽の劇伴の仕事をしている奴とか、声優さんと知り合いになって、彼らが家に来るようになった時に「これは自宅録音のセットを作ったら仕事になるかな?」と思って始めたんです。シーケンサーとサンプラーを買ってシンセを繋げて自分で打ち込みを覚えました。打ち込みでの曲作りは、作詞、作曲、アレンジ、レコーディングのすべてを最初から最後まできちんと自分でできることが魅力でしたね。
最初から最後までじっくり曲作りをしたいということが自分でスタジオを持った理由にも繋がるのでしょうか?
W: 今でこそ音楽が好きで、知識もある音楽ディレクターもたくさんいらっしゃいますが、昔は音楽に詳しくない方も、シンセサイザーが何たるかも知らない人も多かった。そういう状況の上に、自分の曲なのにミックスに立ち会わせてもらえない場合もあったので、自分でスタジオを持って、ディレクターなどの人にいろいろ言われないで、のびのびと最後まで自分たちが満足できる曲作りをしたいという気持ちが、頑張る原動力になったんだと思います。


お2人がCOLDFEETを結成されたいきさつをお教えください。
L:  9年くらい前なんですが、当時はビョークとかボム・ザ・ベ−スのようなトリップホップやドラムンベースが出てきた頃で、そういう音楽に興味があるって人に言ったら、凄く面白い人紹介してあげるよって言われて会ったのがキッカケ。
W: ちょうど彼女が東京でデビューする頃で、そのプロジェクトはCOLDFEETよりもう少しポップス的なものだったんですが、それとは別にポップスから少し外れた音楽もやりたいから、誰かプロデューサーはいないか? ってことで知り合いを通して紹介されました。ディレクターも知り合いだったので彼女のレコーディングに3曲くらい一緒に参加させてもらったんです。
L:  その後、「もしよかったら自分のレーベル用のデモに参加してくれない?」って言われて12インチのレコーディングをしたの。
W: W:90年代前半に僕が手がけていたレーベルのアーティストがヨーロッパのジャズ・フェスティバルやクラブに呼ばれて演奏して好評だったので、海外からも「音資料を送ってくれ」といった依頼の手紙が来ていたんです。でも、よくよく考えると送る音源がなかったんだよね。日本の中の仕事でしか機能していなかったので、自分の素直な海外向けの名刺のために作った12インチに参加してもらったんです。「WATUSI featuring Lori Fine」の名義でタイトルが「COLDFEET」っていう4曲入りのアナログだったんですが、それがキッカケかな?

その最初のコラボレーションが今も続いているわけですが、1人で曲を作るという楽しさと同じように、2人で作る楽しさもあるということですね。
W: そうですね。音楽好きって、本当は人好きだったりするわけです。僕が思うプロデュースって、アレンジだけでなく、見せ方やどう伝えていくかというところも含めてのものなので、最大のプロデュースって何かな? って考えたらメンバーになることだったんですね。Loriの才能や、僕が持っていない部分に凄く感銘を受けたので、プロデューサーとして、シンガー・ソングライターのLoriと何かをやると、凄く面白いことができそうな予感があったんです。
自分が予想していなかったこと以上のことが出てくるということもありますか。
W:  そうですね。特に音作りの面では感心しています。発想が凄くロジカルで、音楽やパフォーマンス、筋肉の行動や、メンタルの部分まで明確に意識して考えている。最初はボーカル・ディレクションも一緒にやっていましたが、今は人をプロデュースする時は、歌入れはLoriに任せて僕は横で居眠りしてます(笑)。

Loriさんのロジカルな、あるいはフィジカルと言い換えてもいいかも知れませんが、そういった面はどこで学ばれたんですか?
L:  まず、両親がそういう考え方をする人だったんです。
W: お父さんが臨床心理学者でサイコセラピーをやられている方で、お母さんもそういうことを勉強しに大学へ行って、そこの先生と知り合って結婚されたという家庭なんですよ。その辺は凄く大きいよね。
L:  そう。ロジカルなことを信じてる、そういう生き方ですから。例えばボーカル・コーチの先生が「息が頭から上に出ているような感じで歌ってください」と言っても「頭から出したことがないのでできません」としか言えなくて(笑)。納得できない教え方をするボーカル・コーチにもたくさん出会いましたが、父と母がオレゴンにいる凄く素晴らしいボーカル・コーチを探してくれて、ロジカルな教え方と考え方に出会ったんです。「筋肉はこう付いているんだからこう動くの」っていう教え方が凄く分かりやすくて、自分の歌い方がその人のレッスンで凄く変わりました。
W: Loriは音楽やパフォーマンス、筋肉の行動からメンタルの部分まで明確に意識して考えていて、それを他のボーカリストにも教えている。だからたくさんのボーカリストから慕われていて、今、引っ張りダコなんでしょうね。ボーカルコーチとしても、曲作りでもたくさんのシンガーに「Loriさんと一緒にやりたい」って言われるんですよ。



   
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