Profile:COIL(コイル)
岡本定義(おかもと さだよし) 7月27日生まれ / 佐藤洋介(さとう ようすけ) 12月25日生まれ1980年、中学3年の岡本と岡本の弟の友達の佐藤が出会い、1991年2人での録音作業を開始。1998年「天才ヴァガボンド」でデビュー。完全アナログ自宅録音ユニットとして注目を集める。2002年それまでのアナログ自宅録音からProToolsを使ったハードディスク・レコーディングへ移行、音楽的にも飛躍的な進化を果たした。一方で岡本の元ちとせへの楽曲提供、佐藤のサンプリングサンのプロデュース、COILでの山崎まさよしや杏子とのスペシャル・ユニット「福耳」への参加など活動の幅を広げている。2004年9月には、「曲ができたら即発表」をモットーにプライベート・レーベル「sandwich records」を設立。現在、レーベルサイト http://www.office-augusta.com/coil/sandwichにて精力的にトラックを発表中。
 
sandwich records
 
今回のインタビューはCOILのお2人の登場です。自宅録音ユニットとして話題のCOIL。その音楽が作られるプライベート・スタジオ「ロープランド」を訪問し、楽器選びや音作りについて、またスタートしたばかりのプライベート・レーベル「sandwich records」の展望などのお話をお伺いしました。


まずはお2人の音楽的背景についてお聞きしたいのですが、音楽を始めたきっかけは何ですか?
佐藤:小学校6年生ぐらいの頃、うちの兄貴のアコースティック・ギターが押入れに入っているのを見つけたんです。その頃の「平凡」とか「明星」という雑誌にはギターのコード譜が付いていたから、何となくそれを見ながらギターを弾いてみようと思いました。それが、本当はどの程度できていたか分からないですけど、自分の中では結構ちゃんと弾けたんですね。ちょっとずつコードを覚えて、伴奏程度に弾けるようになると楽しくなっちゃって、アリスなどのフォーク・ソングをコピーしていました。中学に入って、フュージョン・ブームになってからは、弾けもしないエレキを買って見よう見まねでコピーをしていました。
岡本:僕も最初は2万円でアコースティック・ギターを買いました。中学2年ぐらいの時、友達が文化祭でギターを弾いていて、そのフレットを押さえる指の形がカッコいいなぁと思って始めたのがきっかけです。もともと好きだったビートルズを弾くことから始めましたが、コードを覚えていくとメジャー7thとか分数コードとか、どんどん転調やコードの面白さにハマっていっちゃって。山下達郎さんの「ライド・オン・タイム」がメジャー7thから始まるんですけど、その最初の音が凄く気になって、やがてそういうコードを多用しているフュージョンとかに興味を持つようになりました。それから僕もエレキを買ってしばらくはずっとフュージョンを弾いていましたが、結構早い時期に、これは自分にはできないなって挫折しそうにもなりました。その時チャーさんがテレビで演奏してるのを見てカッコいいなあと思って、僕もアーム付きのギターを買いました。その頃から、ベースを弾く弟と弟の友達の洋介(佐藤)の3人で、トリオ的な演奏をしてましたね。

曲作りのきっかけについては?
岡本: コピーから始めて、カッコいいコード進行を覚えたらそこから曲を作るっていうのが最初の頃の方法ですね。それまでは洋楽を聴くことのほうが多かったんですけど仲井戸麗市さんを聴いて、凄く影響を受けて。やっぱり日本人なら日本語での歌の聴かせ方を考えようと思ったんです。それまではインストの曲やフュージョンっぽいコード進行の曲で適当に「ラララ……」って歌っている曲はあったんですけど、その辺からちゃんと詞、曲っていう形が取れるようになりました。
佐藤: 僕は遅くて、自宅録音のかなり後期になってから始めました。中学の頃に岡本と出会って、その後に出会った人もみんな、優れている人というか、これは太刀打ちできないなっていう奴らばかりだったんです(笑)。でも最終的にはギターにしろ曲作りにしろ、自分のできることを自分のスタイルでやるしかない。そこで僕は何が得意かを考えて、機械をいじることに興味があったし、音を録ること、音を捉えることをやろうと考えたんです。だから、ずっとレコーディングの方法への興味が先で、とにかく音を録りたいがために短い曲を作っていました。自分の好きな曲を聴きながら、「このリバーブはどうやって録音してるんだろう」とか考える。録音方法を知るために曲を作っていたという感じです。



COILとして2人で活動を始めたキッカケを教えてください。
岡本: 当時やっていたバンドが解散して、1人で自宅録音を始めた時、たまたま2人ともフリーターだったので、お互い家を行き来するようになって2人であれこれ言い合いながら始めました。
曲作りは2人でされるのですか。
岡本: 基本的には曲作りの時はバラバラですね。音作りの時はこうしたら良いとかいろいろ意見は言いますけど。


曲作りのワークフローはありますか?
岡本: 特にないです。お互いにギターを弾いていて浮かんだフレーズを持ち寄って「アコギでこういう曲やろうと思うんだけど」「じゃあ録ってみようか」という感じ。ハードディスク・レコーディングになってからはデモテープを作らなくなってきちゃったから。
曲作りの上で、楽器から影響受けてできた曲はありますか?
岡本: ありますよ。それこそエフェクターでフェイザー買ったらそれを使って1曲作ってみようかとか。ギターにしてもテレキャスターを持つのとアコギを持つのではぜんぜん違うし。音色を聴いてイメージが思い浮かぶこともあります。
佐藤: 僕はもちろんルックスも大事なんですけど、ほとんど音色からイメージして曲を作ります。SH-32から触発されて作った曲も多いですね。「Loveless」という曲は、ライブで弾いていたベースや、その上にかぶせている効果音もSH-32のプリセットの音源をそのまま使っています。

ギター以外の楽器、ベースやキーボード、ドラムなどは自宅録音を始めてから覚えられたんですか?
岡本: 基本的にはそうかなぁ。やる必然性が生まれてきたから。
佐藤: 自分が録りたいと思う音を考えると、デモを作らなければいけない。それで分からないなりに自分で弾いてみるんです。
ドラムはどうやって打ち込んだのでしょう。
佐藤: ドラムはドラムマシンを使います。
岡本: ドラムマシンを手で叩くのが一番いい音がする(笑)。ドラムマシンを楽器として使うんですね。当時はテクノもあまり好きじゃなかったし、“いなたい”リズム感のフィルとかノリが好きだったので。

当時、ドラムマシンは何を使っていたのですか?
佐藤: 僕が一番最初に買ったドラムマシンはボスのDR-220Aかな? ソロバンみたいな形にパットが付いていて、なんとか指で叩ける大きさだったんです。それを買ってしばらくずっと叩いていた、打ち込みはせずにリアルタイムで使っていましたね。
岡本: 自分で手で叩いて打ち込んだほうがしっくりくるんですよね。本物のドラムにはかなわないけど、ある程度は自分なりのニュアンスが出せるんですよ。
今回のツアーで中さんがシーケンスを回すのではなくV-Drumsを使っていた、そういう感覚と似ているのかも知れませんね。
岡本: 中さんは、こっちが何も言わないうちにV-Drumsを叩いてたんですけど、「CDを聞いたらこっちのほうが近いかなぁと思って」って言ってましたね。今回は敢えて人力でやりたかったんですが、これがまた面白い。微妙に揺れますからね。



   
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