Profile:3×3
1997年結成。メンバーは水野正敏さん(El.b)、大徳俊幸さん(Pf)、東原力哉さん(Dr)のピアノ・トリオ編成。リーダーの水野さんは、大阪において東原さんと10年近く活動した後に上京。その後、大徳さんと意気投合し、ピアノ・トリオで活動開始。水野さんのエレクトリック・ベースを基盤に、大徳さんのピアノと東原さんのドラムが絡む攻撃的なジャズを持ち味としており、幅広い年齢層の硬派なジャズ・ファンに高く支持されている。2005年11月2日にリリースしたメジャー・デビュー作となる4枚目のアルバム『2857』には、ゲストに矢堀孝一さん(Gt)が参加している。
Profile:矢堀孝一
日本のジャズ・フュージョン・シーンを代表する超テクニカル・ギタリスト。N.Y.レコーディングにてマイク・スターンとも共演したFRAGILE(水野正敏:b、菅沼孝三:ds)での活動はあまりにも有名。その他、西脇辰弥“The Atmosphere”、大高清美、篠田元一“PIVOT”などさまざまな一流ミュージシャンとの共演でも高い評価を受ける。ローランドのGRギター・シンセサイザー、VG Vギターシステム、デジタル・ミキサーなどのデジタル機器を柔軟に使いこなしながらも、アコースティカルなジャズ・アルバムを発表するなど常に柔軟な姿勢で音楽に取り組んでいる。 矢堀孝一公式ホームページ
http://www.uprize.jp/yabori/
 
今回のインタビューは2月11日(土)、東京のShibuya O-EASTで行われたサウンドスパーク2006の会場で、3×3 with 矢堀孝一さんに当日のステージで使用されるローランド製品についてなどのお話を伺ってきました。

 
まず初めに、3×3を結成された経緯をお聞かせください。
水野さん
(以下、水):
まず、私と大徳俊幸さんでトリオをやろうと考えて、そうしたらドラムは東原力哉さんしかおらんと思ったんです。でも力哉さんは大阪に住んでるし、一緒にやるのは大変なんですよ。それでも一緒にやりたいと思ったからお願いをして快諾を得ました。何ていうかモダンで攻撃的なジャズを3人で作ろうやないかと思ったのがきっかけですね。トリオという形式はサウンド的に守りに入りやすいんですけど、それを攻撃的に行こうということで結成したんです。
 
攻撃的なジャズとは具体的にどのようなものですか ジャンルなどのこだわりに通じるものがあるのでしょうか
水: 様式美にのっとって型に近づこうとすると守りに入ってしまう。だから、そういう様式美とかは無視して、好きなようにやろうやないか、ということです。だから僕自身もピアノ・トリオにも関わらずエレクトリック・ベースを使うし。そうしないと音量的にも 不釣り合いなんですよ。力哉さんのドラムの音量ってもの凄くでかいですから。
東原さん
(以下、東):
ピアノ・トリオやったら、本当はベースはウッドベース使うのが普通じゃないですか。何かいろいろ言うてますけど、この人はウッドベース持ち歩くのが面倒臭いだけなんですよ(笑)。
 
大徳さんがこのメンバーでやろうと思われた理由は何でしょうか
大徳さん
(以下、大):
いや、昔から関西系のミュージシャンと相性がイイっていうか、気が合うんです。関西弁が周りから聞こえてくるとバンドをやる雰囲気になるというか(笑)。江戸弁にはない関西弁独特のうねりは、休憩時間にボーッと聞いているだけでも面白いよね。最初は東京のドラマーとも演奏してみたんだけど、どうかなぁって感じだったから、私が東原さんにお願いしたいと言ったんです。
 
力哉さんはこのメンバーでやろうと誘われた時にどう思われましたか
東: 嫌でしたよ(笑)。いや、嘘です。この手のジャズを最小編成でやる時に、このメンツでやれるんだったら願ったり叶ったりだと思いました。水野さんとは大阪で若い時から一緒にやっていたし、大徳さんは僕が17〜18歳くらいの頃からすでにトップ・プレイヤーで、全然クラスが上の人やしね。このバンドをやる前にもあるセッションで大徳さんと一緒にやったことがあって、全く知らない間柄でもなかったし、これは絶対楽しいと思った。で、実際音出してみたら案の定楽しくて、今に至ると。
 
音に関してみなさんが描いていたものが、最初から一緒だったんでしょうか
水: 一緒だったと思います。ジャズって1人で起承転結が描けないと成立しないんですよ。で、この3人はそれぞれが1人でトリオ分くらいの力があるので、トリオが3つ集まった、という意味の3×3というバンド名を付けたんです。
 
 
矢掘さんとアルバム『2857』のレコーディングでご一緒され、今回はステージで演奏されるわけですが、このメンバーで演奏されることになったきっかけは何でしょうか
水: この『2857』というアルバムは4枚目で、その前の3枚は全て3人だけでレコーディングしたんです。それまでのやり方にももちろん意味があるけれど、今回はそれまでのアルバムと音的に変化を付けたいということになって、以前セッションで参加してもらったことのある矢堀さんにお願いしたんです。3×3はゲストを寄せつけないところがあるんですが、矢堀さんなら大丈夫だろうと思いましたけど、やはり見事にうまくやってくれました。
 
オファーを受けた矢堀さんとしてはどのように思われましたか
矢堀さん
(以下、矢):
それはもう、大光栄でございますよ。一度セッションに誘っていただいて、実は大徳さんがギターは嫌いだとお聞きしたんですけど(笑)。
大: いや、逆ですよ。ジャズ・ギターが大好きだから、こういう音が欲しいっていうものを具体的に持ってるから大変なんだよね。
矢: じゃ、今のところ怒られてないから大丈夫なのかな(笑)。でも、僕も勝手にやってるんですよね。ユニットだからこうしよう、などというお約束もあまりないし、自分がやりたいような解釈でやっていることが面白い。全然フュージョンにならないところがいいですね。
 

ライブではインプロビゼーションの演奏が多いのでしょうか
水: 多いですね。何でもありといっても、様式美ではないルールは守りつつやるという感じですね。特徴的には僕や矢堀君より、大徳さんと力哉さんの絡み方が絶妙なんですよ。2人が暴れまくる状況を作れば僕はそれで楽しい。
矢: 他で演奏している水野さんより、3×3で演奏している水野さんが一番カッコいいと思いますよ。
水: それ、語弊があるな。いつもはカッコ悪いみたいやないか(笑)。
矢: 絶妙に気を遣っている感じがするんですよ。
水: あ、愛があるんですよ。このトリオ。音の思いやりというのかね。矢堀君も含めてこの3×3は自分のやりたいようにやりつつ、お互いの音を聴いて、バックは盛り上がってるやろかとか気遣いをしているんです。
 
 
今回、ステージで使用されたローランド/ボス製品についてお伺いいたします。最初に触った時の印象と、その機材を選ばれた理由と魅力をお教えください。
水: 僕はV-BassとアンプはD-Bassをメインで使います。今までいろんな会社がシンセ・ベースを開発されましたけど、やっぱり立ち上がりが悪いのと低域を拾いづらいので、本番ではなかなか使いづらかったんですが、V-Bassはやっと使えるものが出たなという感じです。あとは音も使えるものが入っているし。自分の今までのベーシックな音とエフェクターのシンセ的な音が重なっている、画期的でしたね。だから僕はどのライブでもV-Bassを使っていますよ。よく例えに出すのがウェザー・リポートのジョー・ザヴィヌルとジャコ・パストリアスが世界に先駆けてやり出した、シンセ・ベースとオクターブ下の音域のベースとのユニゾンなんですよ。それが1人でできる。低域を確保したらオーケストレーションができるというウェザー・リポートの面白さ、それができる。これは画期的ですよ。
V-Bass
 
D-Bassのほうはいかがですか
水: アンプも良いです。中高域とか中低域とかしっかりと出るのでビックリしましたね。
 
 
大徳さんは今回Fantom-X8をお使いですね。
大: 僕は基本的にいつも生ピアノを弾いている状況が多いんだけど、今までにもいろんなメーカーのキーボードも使ったんです。最近出たRD-700SXを使ってみたら、まず、鍵盤が弾きやすいので、ここ3年くらいはステージで使っているんだけど、今回のFantom-X8もサンプリングを鍵盤1音ずつサンプリングしているのでいいですね。音が太くて周りの音がドカドカ来ても負けていないね。他のものだとこんな小さい音で、みんなちゃんと聴こえてるかなっていう不安感の中で弾いていることがありますが、これはちゃんと聴こえているなという感覚があるんです。ボリュームが鳴っていなくても、音に存在感があるからああ、聴こえてるなって。だから胃がキリキリしなくてすむ(笑)。
Fantom-X8
 
Fantom-X8やRD-700SXは生ピアノの代わりになる楽器だとお考えですか。それともまた別の面白い楽器という感覚でお使いなのでしょうか
大: 面白い位置にある楽器ですよ。何といってもローランドの鍵盤が、普通の生ピアノとキーボードの鍵盤の中間くらいの、ちょうど良い感じのガッていう重みでいいんですよね。この鍵盤だとピアノとキーボードの両方の弾き方ができるんですよ。あと、昔のJunoの音が入っているのが懐かしくて嬉しいですね。あの音は使いやすいんですよ。昔Jupiter-8を使っていたんですが、その当時の香りがあるのが懐かしくて嬉しいですね。



  
Copyright(c) 2000-2006 Roland Corporation All rights reserved